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季節のことば / 茶杓の銘 3月 「東雲(しののめ)」

東雲の景色

はじめに

茶杓の銘」とは、茶道具の「茶杓」に名付けられた名前のことです。
お茶会では、道具の取り合わせについて亭主に尋ねる場面があるのですが、その時にいかに季節や場に添った御銘を紹介できるかで、亭主のセンスが問われます。

お茶会に参加する機会がなくても、ことばを通じて季節を感じていただけたらと思います。月に1つずつご紹介していきます。

「東雲」とは?

東雲とは、夜が明ける頃に東の空が薄オレンジ色に染まっている明け方の頃を指します。ちょうど冒頭の写真のような様子ですね。

なぜ、この様子を東雲(しののめ)と呼ぶかというと、昔の日本家屋の”窓”である、「篠竹の格子の目」から明け方の光が緩やかに入ってくる様子になぞらえたそうです。

「篠の目」の当て字として、「東雲」が使われたそうです。

「篠の目」から「東雲」へ

伝統色「東雲色」について

「東雲」の言葉の意味が分かれば、「東雲色」がどんな色かイメージがつくのではないでしょうか?下記のような薄オレンジ?サーモン色?のような色となります。

夜の深い青から、暖かな東雲色が広がっていく様子は、”これから始まる!”というイメージで、心に染み入りますね。伝統色としてこの名称があるのも、古の人にとってもこの景色に特別な想いがあったからではないでしょうか。

東雲色

【ご参考】過去に紹介した御銘