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季節のことば / 茶杓の銘 2月 「花の兄」

花の兄とは?

2月に入りました!

立春を迎え、暦の上でも2023年が始まりましたね。

「気持ちを新たに!」と思いつつも、まだまだ外出の時には一番分厚いコートを着て出掛けていますし、公園の池には氷も張っていて、寒い日が続くのでなかなか前向きになりにくいのが正直なところ。。。

そこで今は、少しずつ「春」を探して、気分を盛り立てています。

例えば、最近、日が暮れるのが遅くなった気がしませんか?年末の頃は17時ともなるとすっかり真っ暗だったのに、今は17時でもまだ明るい!こぶしの蕾もフカフカでまん丸く膨らんできたー!とか。

今回ご紹介する「花の兄」は、そんな時期に使いたい御銘なのです。

「花の兄」とは?

「花の兄」何のことか分かりますか?
初めて聞いた時は、さっぱり分かりませんでした。。。

答えは・・・「梅」のことなんです!
どの花よりもいち早く咲くからなんだとか(もちろん和花の中でのことです!)。最近は蝋梅も咲きはじめ、ふんわりと香りが漂い始めましたね。

知った時は「なるほどー!!」と、とても納得したのを覚えています。
そして、直接的な言い方をしないことに風流さや日本人の「粋」を感じました。

こんな言葉をサラリと使ってみたいですよね。でも、受け手側も”それが何なのか”を理解する教養を持っていないと成立しないので、日々言葉の勉強が必要です。

日本語にはこうした素敵な名前の付け方をされた異名がいくつかありますので、また折に触れてご紹介しますね。

紅梅

【ご参考】御銘について

御銘とは、茶杓に対して作者が付けたテーマのようなものです。季節に添ったもの、禅語などさまざまです。

お茶会では、亭主が買い求めたものや亭主自身が削ったものが道具として取り合わせられ、「拝見(お道具の紹介)」の場で正客から亭主に「御銘」を尋ねられます。お稽古の場ではいつも銘がついた本格的なものを使うわけにはいきません。そこで、お稽古用の無銘のお道具を使いつつ、いかに季節や場に添った素敵な御銘を紹介するかで感性が試されるのです。お点前の手順だけでなく、こうした感性を磨くこともお茶のお稽古のひとつとなります。

【ご参考】これまでにご紹介した御銘