季節のことば/茶杓の銘 7月 「天の川」 梶の葉について
はじめに
「茶杓の銘」とは、茶道具の「茶杓」に名付けられた名前のことです。
お茶会では、道具の取り合わせについて亭主に尋ねる場面があるのですが、その時にいかに季節や場に添った銘を紹介できるかで、亭主のセンスが問われます。
お茶会に参加する機会がなくても、ことばを通じて季節を感じていただけたらと思います。月に1つずつご紹介していきます。
7月の銘「天の川」
6月下旬から7月上旬頃に使われる銘です。
もう説明はいらないと思いますが、「天の川」は銀河系に広がるたくさんの星が連なって川のように見えることから、そう呼ばれています。冬でも見られますが、特に夏のほうが良く見ることができるので、七夕の伝説と縁が深いですよね。
そのため、この時期の“取り合わせ”としては、短冊が描かれた茶碗を使ったり、涼やかな寒天状の和菓子にしたりと、七夕の趣向を楽しみます。
着物や帯、帯揚げなどの小物にも七夕らしさを取り入れたりと、季節の行事があるととても分かりやすく表現できるのが楽しいところです。
梶の葉について
かつて、古くは平安時代に七夕の短冊に梶の葉が使われていたのはご存じでしょうか?梶の葉には文字を書くことができるので、和歌を書いたり願い事を書いていたそうです。
私も以前筆ペンを使って文字を書いたことがありますが、文字が弾かれることなくしっかり書くことができましたよ!
季節のお点前「葉蓋点前」
この梶の葉、茶道においては夏のお点前で“水差しの蓋”としても使われます。
「葉蓋(はぶた)」と呼ばれるお点前です。鮮やかな緑色の葉は目にも涼しさを感じられるので、このお点前が始まると「夏が来たな~♪」と実感できます。
お点前では、通常の蓋と違って立てておくことができないので、蓋(=葉)を開けたら畳んで建水(けんすい)へと捨ててしまいます。少々もったいないですが、その儚さもまた季節ならではのお点前の醍醐味ですね。
梶の葉はなかなか手に入れにくいかもしれませんが、空を見上げて「天の川」を探してみてはいかがでしょうか?
【ご参考】過去に紹介した御銘