季節のことば / 茶杓の銘 4月 「花筏(はないかだ)」
はじめに
東京のソメイヨシノはそろそろ見納めですね。
お花見は楽しみましたか?
東京では、咲き始めて間もなく雨続きで残念でしたが、私はありがたくも例年以上に各所で桜を楽しむことができました。
今回ご紹介するのは、桜が終わりかけたこの時期によく使われる言葉です。
花筏(はないかだ)
花筏とは、散った桜の花びらが水面で帯状に流れていく様子のことを言います。
満開の桜の木も素敵ですが、散った桜の花びらが水面をピンク色に染めている様子もまた目を惹きますね。
空を背景に桜の写真を撮るとどうしても逆光のようになり、桜の淡いピンクが伝わりにくいですが、水面にあるほうがピンクも増して華やかに見える気がします。
こちらは近所の川沿いの桜と花筏です。散った花でも十分にお花見を楽しむことができますね。
川沿いの土手では、桜とたんぽぽという春の花の共演を見ることができました。
着物や茶碗の柄にも
日本人が大好きな花、桜は着物や抹茶茶碗にもよく使われます。
このように筏の上に舞い散った桜は、まさに字の通りの花筏ですね。
ハナイカダ
ちなみに「ハナイカダ」という植物もあります。
葉の中央に花を咲かせることから、筏に人が乗った様子に見立てた名前です。
4~6月頃に花を咲かせるので、これから見かけるかもしれませんね。
終わりに
最近では年々咲く時期が早くなり、“入学式の花”というより“卒業式の花”になりつつありますが、やはり桜を見ると「春が来た!」という気分が高まり、格別に幸せな気分になれますね♪
これからは遅咲きの一葉桜や八重桜の時期になります。
残り僅かな桜の季節を目一杯楽しみたいと思います。
【ご参考】御銘について
御銘とは、茶杓に対して作者が付けたテーマのようなものです。季節に添ったもの、禅語などさまざまです。
お茶会では、亭主が買い求めたものや亭主自身が削ったものが道具として取り合わせられ、「拝見(お道具の紹介)」の場で正客から亭主に「御銘」を尋ねられます。お稽古の場ではいつも銘がついた本格的なものを使うわけにはいきません。そこで、お稽古用の無銘のお道具を使いつつ、いかに季節や場に添った素敵な御銘を紹介するかで感性が試されるのです。お点前の手順だけでなく、こうした感性を磨くこともお茶のお稽古のひとつとなります。