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【茶道のマナー】3種類のお辞儀について

茶道の所作の一つひとつには、常に相手を敬う気持ちが表れているため自然とお辞儀をする場面が多くあります。

 

裏千家茶道では、3種類のお辞儀を使い分けています。

茶道のマナーとしてご紹介しますが、日常生活でも活かせると思いますので覚えておきましょう。

裏千家茶道としてのご案内になります。

他の流派では手の置き方が異なることがあります。

茶道のマナー、3種類のお辞儀とは?

茶道のお辞儀には、「真(しん)」「行(ぎょう)」「草(そう)」の3種類があります。

書道で文字の種類で「楷書」「行書」「草書」というのを聞いたことがあるのではないでしょうか。

こちらと同じ考え方で、丁寧さの違いで分けられています。

 

「真のお辞儀」 最も丁寧なご辞儀です。

「行のお辞儀」 少し崩したお辞儀です。

「草のお辞儀」 最も軽いお辞儀で、会釈のイメージです。

 

それぞれについて詳しく見て行きましょう。

真(しん)のお辞儀

最も丁寧なお辞儀です。お点前の始めと終わりの「総礼(そうれい)」の時や床の間・道具の拝見の時に行います。

 「真のお辞儀」ポイント

手のひら全体を畳につける

左右の手の指先(中指・人差し指あたり)をつける

*親指は開かず、他の指と揃えるように気を付けましょう

肘を緩やかに曲げながら頭を下げる

*上体は緩やかな一直線。猫背や頭だけ下げることのないようにしましょう

*胸とひざの間はこぶし1つ半程度空けます

一呼吸(3~4秒)程度の時間をかけ、頭を起こす

行(ぎょう)のお辞儀

お菓子を取り回す時など、次の方へ「お先に」と言う時のお辞儀です。

 「行のお辞儀」ポイント

指の第二間接くらいまでを畳につける

*両手の指先は空けずに揃えます

肘を緩やかに曲げながら頭を下げる

*胸のひざの間はこぶし2・3個程度空けます

1秒で頭を下げ、1秒で戻る程度の時間をかける

草(そう)のお辞儀

会釈程度の軽いお辞儀です。

亭主がお点前の途中で「お菓子をどうぞ」や「お仕舞にします」というひと声を掛ける時などに行います。

 「草のお辞儀」ポイント

指先のみ畳につける

*両手の指先は空けずに揃えます

上体を軽く下げます

*首だけにならないよう注意しましょう

お辞儀をすると分かる!座る位置について

3種類のお辞儀を知ると分かると思いますが、お辞儀をする時には手の位置が重要になってきます。

最も丁寧な「真のお辞儀」をする時には、手のひら全てを畳につけます。
そのため、畳の縁からご自分の膝まで手のひらが入るスペースが必要です。

そのスペースは、畳の縁から膝まで16目と言われています。
お茶席で畳の目の数を数えるのはよくないですが、手のひらをぱっと置いてしっかり入ることを確認して座る位置を定めると良いと思います。

 

ちなみに亭主やご一緒する客同士でご挨拶する時は、扇子を前に置いてお辞儀をします。
その時には、畳の縁から1つ空けて2つ目に扇子を置きます。

この時も畳の縁から16目空けて座っていれば、ちょうど収まると思います。

 

細かいことも挙げましたが、お辞儀は相手を敬うところから生まれる所作です。
「この場面では”真”じゃなきゃ!」「”行”じゃなきゃ!」と考えすぎてしまうと、気持ちを表せずに不自然なものになってしまうと思います。なによりその場を楽しむこともできませんね。
場にそぐわない丁寧さもまた不自然になってしまうので、難しいところだと思います。

お辞儀には3種類あることをお伝えしましたが、「相手を敬う気持ち」を持って経験を重ねていくことでだんだんと身についていくのではないかと思います。