茶道具について 平茶碗
平茶碗とは
平茶碗とは、口が広く浅いお茶碗のことを言います。
口が広い分お茶の熱が冷めやすいため、お客様にとってもいただきやすい夏ならではのお茶碗となります。
*夏であっても、お点前に通常の抹茶茶碗を使用しても問題はありません。
平茶碗でのお茶の点て方
平たく口が広いため、いつもの抹茶茶碗と同じ勢いで茶筅を振るとお茶が飛んでしまうので、7割程度?の控えめに振る必要があります。慣れないと少し怖いと思います。
また、お茶碗への左手の添え方は、畳の上に直接お茶碗を置いている場合は茶碗に対して横から添えますが(親指が茶碗の上、残りの指が下)、平茶碗の場合は高さがなく、横から添えにくいため、上から添えても良いことに(親指は点前、残りの指は奥)なっています。
*あくまでもお茶を点てる時の安定性を優先に考えるため、平茶碗だから上から添えなければならないということはありません。茶碗の高さや形によっても変わります。
*通常の形の抹茶茶碗であっても、お盆や台の上であれば手は上から添えます。
*上記は裏千家でのお点前を基準にしています。
お点前の細かい話となりましたが、お客様として招かれた場合でも所作を少しでも知っていると楽しめるのではないかと思います。
平茶碗の絵柄について
夏ならではのお茶碗として、平茶碗は冷めやすいという機能面だけでなく、絵柄においても夏らしさを演出します。
夏の風物詩の柄
風鈴や団扇、花火、朝顔といった、いかにも夏を感じられる絵柄は非常に多いです。
また、祇園祭にちなんだ絵柄も夏らしくてとても素敵ですね。
ガラスでできた平茶碗なども、絵柄が無くても非常に涼やかに見えますよね。
秋の絵柄
夏なのに、なぜ秋の絵柄?と思われるでしょうが、あえて秋の絵柄を用いることで「秋の涼しさ」を感じていただく、という趣向になります。例えば、秋の七草のキキョウやナデシコ、萩、菊などですね。
茶碗だけでなく、着物の柄でも同じように夏の着物や帯に秋の絵柄が描かれることが多いです。こうした考え方は非常に日本的な美意識だなと感じます。
終わりに
いかがだったでしょうか。平茶碗はその特徴的な形だけでなく、素材や絵柄にも注目していただくことで夏らしさを感じられる茶道具となります。
また、亭主のお点前の所作の違いにも気づけるようになるとお茶会のお呼ばれも楽しめるのではないでしょうか。
夏の平茶碗とは逆に、口が狭くお茶が冷めにくい冬ならではの「筒茶碗(つつちゃわん)」もありますので、併せて知っておくと良いと思います。