着物のルール 着物の種類と格について
- はじめに
- 着物の種類について
- 黒留袖
- 色留袖
- 振袖
- 訪問着
- 色無地
- 附下(つけさげ)
- 裃小紋(かみしもこもん)・江戸小物
- 小紋
- 紬(つむぎ)
- 絣(かすり)・縞(しま)
- 終わりに
- 【ご参考】過去の記事「着物のルール」
はじめに
今年は4年ぶりに隅田川花火大会が開催されるなど、“夏”が戻ってきた感じですね。そして、浴衣の人を多く見かけるようになりました。日常的に着物を着ていなくても、「花火大会には浴衣を着て行きたい!」と和装に意識が向かうのは、日本文化に関わる者としては嬉しいものです。
では、さらにもう一歩、和装の世界に理解を深められるよう、今回は「着物の種類と格」についてご紹介したいと思います。
着物の種類について
着物は基本的に「染め」と「織り」の着物に分けられます。
「染め」の着物のほうが多様な模様や色彩があり、「織り」の着物よりも格が高いとされています。
そして、「訪問着」や「小紋」といった着物の種類を耳にしたことがあると思いますが、他にどのような種類があり、それぞれどのような位置づけなのでしょうか?格の高いものから順にご紹介します。
*今回は少々文字が多くなり申し訳ないです。
個々の詳細はいずれご紹介させていただきますので、今回は概要としてご理解ください。
黒留袖
既婚者の第一礼装です。黒い縮緬(ちりめん)の生地で裾だけに絵羽模様*があり、五か所に家紋が染め抜かれています。白地の下着を重ねるのですが、現在は省略されて比翼仕立てが一般的です。結婚式で親族の女性が着用する着物です。
*絵羽模様(えばもよう)とは、広げた時に1枚の絵になるよう、縫い合わせ部分も模様がつながるように染められた着物です。
色留袖
黒留袖に対して、色地の留袖を指します。家紋の数など黒留袖と同じ条件を揃えていれば、黒留袖と同格になります。染抜きの家紋の数を3つ、1つなどにして準礼装とすることも可能です。結婚式や祝賀会、叙勲授賞式などに着用します。
振袖
未婚者の第一礼装です。袖丈によって、大振袖・中振袖・小振袖と種類が分かれており、袖丈が長いほど格が高くなります。成人式で初めて着る方が多いのではないでしょうか。その他、結婚式やお正月、お茶会などで着用します。
訪問着
既婚・未婚問わずに着られる、華やかな絵羽模様が特徴の着物です。染抜きの家紋の数を3つ・1つや、縫い紋を1つ、または“入れない”などして準礼装~略礼装として対応します。結婚式・入学式・卒業式・お茶会・歌舞伎鑑賞、各種パーティーなどで着用します。大人の女性としては持っていると重宝すると思います。
色無地
黒以外の一色で染められた着物です。染抜きの家紋を3つ・1つや縫い紋を1つ入れます。一般的にお茶会では色無地の着物を着用します。その他、入学式や卒業式などに。
地味な色であればお通夜や法事での色喪服としても着用ができます。
附下(つけさげ)
紋は入れず、一般的には、訪問着よりは控えめな模様で、柄合わせは前身頃のみで、その他は縫い合わせ部分の模様がつながっていない着物と言われています。しかし、最近では後ろ見頃も柄合わせがあったりと、訪問着との区別がつきにくい存在となっています。
私は茶道用に附下にあえて縫い紋を入れて、訪問着へと格上げしたりもしました。
裃小紋(かみしもこもん)・江戸小物
小紋とは、反物の天地を逆にしても成立する模様で作られた着物です。特に「裃小紋」は、江戸時代の武士の裃(かみしも)から派生した一色染めの型染小紋で、小紋の中でも格が高く、一ツ紋を入れると附下よりも格が高くなります。お茶会へ着て行くのに重宝する着物です。
小紋
「裃小紋・江戸小紋」の説明で触れたように、天地を変えても成立する模様の着物です。着物を愛好する人にとって、このあたりから日常で着やすいのではないでしょうか。洋服で言うとワンピースくらいの感覚で、普段着の中でもきちんとした印象となります。
紬(つむぎ)
糸を染めてから織った着物です。「織り」の着物のため、「染め」よりは格が下がります。
大島紬や結城紬などの高級品もありますが、格としては普段着なので、式典などには向きません。紬は糸に撚り(より)がかかり生地がしっかりしているので、着物を着る練習をするには手から逃げにくく良いのではないかと思います。
絣(かすり)・縞(しま)
麻や木綿などを染めてから織った着物です。絣糸(かすりいと)を使って、模様がかすれるように見える織物を指したり、模様そのものを指したりもします。麻でできた小地谷縮(おじやちぢみ)や宮古上布(みやこじょうふ)、木綿の久留米絣などが有名です。織りの着物なので、普段着の位置づけとなります。
終わりに
いかがだったでしょうか。今回は文字ばかりで申し訳ありません。
本来であればもう少し細かく紹介できるのですが・・・本当に種類が多いので、恐らくよく耳にするであろう着物の種類を中心にご紹介しました。おおよその格をご理解いただければと思います。
今後、それぞれの着物についても詳しくご紹介できればと思います。