茶道を支える職人 千家十職について
千家十職(せんけじっしょく)とは?
茶道三千家に向けた茶道具を作ることを家業とした、十種の職人の家(職家)を指します。
そもそも茶道三千家とは?
「裏千家」「表千家」「武者小路千家」と呼ばれる茶道の流派を指します。それぞれ千利休のひ孫たちが興した流派です。
三千家については、こちらにも詳しく紹介しています。
十職について
それぞれの家の職人の名前は襲名により、代々引き継がれています。
茶 碗 師
◆樂家◆ 樂 吉左衛門
「楽茶碗(らくちゃわん)」という名前は、よく聞くのではないでしょうか?濃茶をいただく時の「黒楽(くろらく)」は、黒い楽茶碗を指します。
土 風 炉 / 焼 物 師
茶碗をはじめ、水指や蓋置などの焼き物や釜を置く土風炉を作る職人です。
釜 師
◆大西家◆ 大西 清右衛門
文字通り釜を作る職人です。
塗 師
◆中村家◆ 中村 宗哲
棗や香合など漆芸の職人です。
お稽古で、お道具の問答の場面で、「お塗は?」に対して「宗哲(そうてつ)でございます。」と答えるので、耳にすることが多いと思います。
指 物 師
◆駒澤家◆ 駒澤 利斎
指物(さしもの)とは糊やクギなどを使わずに、板の凹凸を差し込んで組み立てた家具や道具の総称。棚や炉縁、曲げの建水などがあります。
金 物 師
◆中川家◆ 中川 浄益
金属製の茶道具を作る職人。風炉や建水、杓立てなどを扱っています。
袋 師
◆土田家◆ 土田 友湖
道具を入れる仕覆(しふく)などの袋ものを作る職人。帛紗、数寄屋袋など、布のもの全般を扱っています。
竹 細 工 / 柄 杓 師
◆黒田家◆ 黒田 正玄
柄杓や茶杓、花入れなど、竹を使った道具を作る職人。
一 閑 張 細 工 師
◆飛来家◆ 飛来 一閑
器の表面に紙を貼重ね漆を塗った「一閑塗」という漆芸の職人。主に棗や香合などを扱う。
表 具 師
◆奥村家◆ 奥村 吉兵衛
表具とは、絵画や書などを裂地や布、紙などを使って掛軸、巻物、額装などに装飾し仕立てることを言います。屏風・衝立・襖など、主に紙を扱う職人です。
終わりに
私自身これらの職人のことをきちんと知るまでに時間がかかったので、初めて見る方にとっては道具の名前と職人とが結びつかないのでは・・・と思います。
ただ、お点前の中での問答など、道具について語るうえでは必ず出てくる職人ですので、ご紹介させていただきました。
今後、個別に道具をご紹介する際にこの記事を振り返ることができればと思います。