和を楽しみ、暮らしを豊かに

和文化を現代の生活にうまく取り入れて、心豊かな暮らしのお手伝いができれば幸いです。

茶道具について 懐紙の使い方

懐紙とは

和紙でできており、通常は二つ折りで使用します。主に茶道の場でお菓子をいただく時にお皿のように下に敷いて使います。普段は着物の懐に懐中しておくことから、「懐紙(かいし)」と呼ばれます。

女性用で約15センチ四方(正確には縦横は3センチほど長さが違います)で、男性用はひと回り大きいです。

白が基本で、透かし模様や型押しで柄が入っているものもあります。また、季節のお花やおめでたい模様などもあるので、その場に応じて使い分けるのも楽しいと思います。

茶道での使い方

二つ折りの輪(折り目)を自分側、開いているほうを向こう側に向けて使います。

お茶会でお客様としてお菓子をいただく際には、自分の手持ちの懐紙を束のまま懐から出し、中央にお菓子を乗せていただきます。またお菓子が食べきれない場合や持ち帰りたい時に包むのにも役立ちます。

亭主側として、あらかじめ懐紙にお菓子を乗せてお出しする場合には、1枚の懐紙を”慶事の向き”へと少しずらして二つ折りにし、お菓子を中央に乗せてお出しします。

懐紙の束:輪(折り目)を自分側に向けて使う

 

懐石料理での使い方

食材を落としたり、汁などこぼしたりしないよう、左手に懐紙を持ち受け皿のようにして使います。

お食事の時に、つい手で受け皿にしてしまうことはありませんか?一見、上品のようですが、「手皿」といってマナー違反なのです。食べ物がこぼれた時に手が汚れてしまうからお行儀が悪いとされています。

慶事・弔事での使い方

懐紙でお菓子をお出しする場合、慶事・弔事で折り方の向きが異なります。

慶事 上側の懐紙を右に少しずらして折り、左側に隙間を作ります。

弔事 上側の懐紙を左に少しずらして折り、右側に隙間を作ります。

これらの違いは、和紙の礼法である「折形(おりがた)」に由来します。折形については、別の機会に紹介させていただきますが、身近なところで御祝儀袋は向かって左が開く側、お葬式の香典袋は右が開く側ですよね。これらと同じだと思ってください。

慶事の懐紙の折り方

弔事の懐紙の折り方

 

お金を包む

お金をお渡しする時に、持ち合わせの封筒が無い場合や銀行の封筒では失礼、という場合に懐紙を使うと喜んでいただけることが多いです。この場合も、状況に応じて開く向きは注意したほうがいいです。慶事とも言えない、一般的なもの(月謝、参加費等)の場合でも、慶事と同じように左側が開くようにしたほうが良いです。

小銭を包む時はもう少し小さく、袋状にするとこぼれなくていいですね。

お札を包む。こちらも左が開くように折る

その他の使い方

・軽く折って、箸置きに
・箸や黒文字(菓子切り)を包む
・天ぷらの下に敷き、油を吸わせる
・メモ

などなど。茶道以外の場面でもいろいろと活用することができます。ふとした時にサラッと懐紙が出てくると、とても上品で素敵ですよね。素敵な柄の懐紙もたくさん出回っていますので、ぜひ楽しんでください。