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季節の伝統色 躑躅色(つつじいろ)

はじめに

4月も終わりに近づいてきましたが、先日は夏のように暑い日がありましたね。
今年は特に季節の進み方が早いように思います。
桜も3月が見頃でしたし、5月の花だと思っていた藤も近所では先週が見頃で、今やピークを過ぎてしまったように感じます。(もっと満喫したかった!)

そんな中、今はツツジの華やかさが目に飛び込んできます。公園や道路の生垣に多く使われているので、とても身近ですよね。そこで今回はツツジにまつわる色についてご紹介したいと思います。

伝統色 躑躅色(つつじいろ)

日本の伝統色について調べると、その色名は自然に由来するものが多く、その名前を見るだけでもどんな色か想像できてしまいます。

躑躅色もまさにその1つで、少し紫がかった鮮やかな濃いピンクで「なるほど!」と思う想像通りの色ですね。

躑躅

ツツジ平安時代からあったそうで、当時の主な品種のヤマツツジの色からこの色になったそうです。

襲(かさね)の色目

「襲の色目」はご存じでしょうか。
女性の装束の袿(うちぎ:着物の種類)を着る際に、重ねて着る装束の色の組み合わせのことを指します。当時の絹は薄かったので、その色が透けて見えることもまた雅な色調の美しさとなっていました。(こちらも調べだすとキリがありません・・・)

ツツジ平安時代からあるだけあって、襲の色目にも取り上げられています。

躑躅/つつじ (表:中蘇芳、裏:中萌黄)

躑躅/くれないつつじ (表:中蘇芳、裏:淡紅)

躑躅/しらつつじ (表:白、裏:中紫)

実際の花の色から比べると、全体的に渋さのある色ですね。色の組み合わせとして考えるととても品があるので、着物や帯の取り合わせを考える時の参考になります。

意外な漢字の由来

ツツジの名前の由来は、「筒状だから」「続いて咲くから」だそうです。

ただ、ツツジは植物なのに、どうして漢字に草冠がつかないのか疑問に思い調べてみました。

漢字で書くと「躑躅」。けっこう難しい字ですよね。
「躑(てき)」は、たたずむ、行きなやむ、あしぶみする、「躅(ちょく)」も、あしずりする、あがくといった意味だそうです。つまり、「躑躅(てきちょく)」とは、歩行の進まない状態、あしぶみを指しています。

もともとは、羊躑躅と書いたそうで、羊が躑躅を食べ、足踏みして、死んでしまったことからつけられたそうです。(ツツジに毒性があるとはちょっとショックですが)

一方で、「つい足を止めてしまう美しさだから」という由来もあるそうです。
そちらのほうが納得ですね!

まだしばらくツツジは楽しめそうですので、足を止めてじっくり鑑賞してみてはいかがでしょうか。