和を楽しみ、暮らしを豊かに

和文化を現代の生活にうまく取り入れて、心豊かな暮らしのお手伝いができれば幸いです。

タダモノじゃない人になれる!?茶道の世界

茶道に興味を持ったきっかけ

映画「日日是好日」の中で、「あのお辞儀の仕方はタダモノじゃないわよ」と噂されていた"武田のおばさん"は、茶道の先生でしたね。

私も茶道をしている人は「タダモノじゃない」と思っていました。

 

~小さい頃から何度となく父から聞かされていたエピソード~

父は学生時代、京都が大好きで、バイト代を貯めては京都に通っていたそうです。
ある時、京都に向かう列車の中で偶然にも当時茶道家としてTVなどでご活躍だった塩月弥栄子先生の近くに乗り合わせたとのこと。

著名人ということもあり、何度となく様子を伺っていたそうですが、なんと京都に着くまで一度も背もたれを使わず、お着物を乱すこともなくスッと座られていたそうで、「さすがだったよー!」と、とても驚いた様子で話していました。

 

私も子どもながらに、お茶をやっている人って「タダモノじゃない!」と深く印象に残ったのを覚えています。

 

茶道部に入ってみた

茶道に対して神秘的なような、得体の知れないような、不思議な印象を持ちながら時が過ぎ、高校生になると部活に茶道部があると知って、入部することにしました。

父はというと「少しはお行儀が良くなるだろうから、いいんじゃないか。」と(笑)。

 

茶道部では、お辞儀の仕方から始まり、畳の部屋での歩き方、襖の開け閉め、扇子の扱いなど、それまでちゃんと教わったことがなかったさまざまなルールを知り、大人の世界に入ったようなワクワクするスタートを切りました。

 

学生時代は、毎週変わる季節とりどりの可愛らしいお菓子が食べられることが楽しくて続けていました。

お菓子は、季節のお花や自然の情景を模したもの、茶道ならではの「花びら餅」や「亥の子餅」など。今思えばこうしたお菓子に触れることで、季節を感じる心や自然の移り変わりに興味を持つ素地になったのだと思います。

 

いざ、茶道教室へ

高校卒業後は、部活のコーチの皆さんと同じ茶道教室へ入門することにしました。茶道部卒業生が顧問の先生のお教室へ入門するルートができていたのです。

とはいえ、茶道部の同級生15人のうち、入門したのは私1人だけでした。それぞれに大学生活が忙しかったり、他の興味があったのでしょう。

 

一般的に茶道教室へ入門する際には「敷居が高そうで・・・」といった、心のハードル!?があるようですが、実は私はそのように思ったことはありませんでした。

知っている先輩がたくさんいるといった安心感もありましたが、「まだ茶道のことを全然分かっていない!」という物足りなさと、なにより、これまで続けてきた「お稽古という時間」を失いたくないという想いが強かったことを覚えています。

高校3年間で、お菓子だけでなく(!)、お茶室で過ごすお稽古の時間がかけがえのないものと感じられるようになっていました。知らず知らずのうちに”和文化セラピー”に通じる癒し効果を体感していたのかもしれません。

 

やっぱりタダモノじゃない!?

道教室は部活とは違って年齢層もさまざま。茶歴もさまざまなので、見たことのないお点前が繰り広げられていて、とても緊張する空間でした。高校3年間で基本的なお点前は習得していたものの、空間に飲み込まれて出来ていたはずのものができないこともしばしば。。。

それもこれも先生は全て分かっていらして、大学生の私にも分かるような砕けたお話で緊張をほぐしてくださったり、”出来ている”と思っていたものは、実は”出来ているつもり”だったのだ!と気づかされることもたくさんありました。

そして、何より驚いたのは、何をしてもお茶室の中では、先生には全てお見通しということです。

 

・・・お点前中、えーっと、ここではお湯を~、あっ違う!お水を入れるんだ!・・・
といった心の動きは、絶対に先生は見逃しません。
「今、お湯を入れようと思ったでしょう(笑)。」

 

あちらとこちらの2箇所でやっている、違うお点前のお稽古を同時に見てくださることもよくあり、
・・・こっちは見てないよね・・・と思っていたら
「そこで水差しの蓋を開けるのよー。」と、しっかりご指摘が。
・・・えっ、見えてたの!?・・・

 

先生の目はいくつあるのだろう?何か周波数を感知できるのでは?
と思わざるを得ないことがたくさんありました。

そう、まさにお茶の先生はタダモノじゃないのです!